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と牧師というのは同じ意味なのです。言い換えるならば、肉体を治療することと、こころのケアというのは別のものではなく一つのものだという、そこに認識があったのだと思います。
治療することのもう一つの言葉にヒール(heal)というのがあります。ヒールという言葉はホロスという言葉から出てきますが、これは英語で言うとホリスティックという言葉になります。全体的、全人的、総体的という意味です。
医療もだんだん分化されてきました。福祉も同じです。それが再び根源に戻らなければいけないのではないかという考え方に傾いてまいりました。保健、医療、福祉の総合化ということが今日言われるのです。肉体的な治療とこころのケアを一つにしようということです。
ホスピチューム(hospitium)という言葉があります。これにはいくつかの意味があります。第1は修道院という意味です。すなわち、そこは祈りの場です。ここからホスピタルという概念が出てきたのです。もともと修道院があって、病人が出ると、その病人を修道院に連れていって看護をする。ホスピタルというのは元来、看護が中心でした。そこに外から招かれて治療に当たるのが医者でした。それがホスピタルという形態に移っていくわけです。次に出てきたのがホスピスと、そしてホテル、あるいはホステルです。憩う場、疲れを癒す場です。そして老人ホームというのもそこから発展してきました。老人ホームという福祉も、ホスピタルという治療も同源なのです。そしてそれを貫く概念がホスピタリティです。そうすると、ホスピタリティというのは一体だれのためにどうするのかということが当然問われてくることでしょう。

 

 

 

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